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66 貴金属を使わないアンモニア合成触媒

66 貴金属を使わないアンモニア合成触媒
東京工業大学
アンモニアの人工合成反応でルテニウムなどの貴金属を使わず、窒化ランタン(LaN)表面の窒素空孔を反応場として利用する高い合成活性を持つ触媒を開発した。

【本技術の概要】
東京工業大学元素戦略研究センターの細野秀雄栄誉教授、同センターの叶天南(Tian-Nan Ye)特任助教、 北野政明准教授らは、単独では活性を示さないニッケル(Ni)と窒化ランタン(LaN)を組み合わせ、 水素分子の活性化をニッケル上で、また窒素分子の活性化をLaN上の窒素空孔で行うことにより、きわめて高いアンモニア合成活性を実現した。

【本技術の基本原理】
この触媒では、水素分子を解離する能力が高いNi上で水素原子が生成され、その水素原子がLaN表面の窒素種と反応することで、アンモニア(NH3)が生成される。この反応を詳しくみると、まずLaN表面に窒素空孔が形成され、この空孔に窒素分子が取り込まれることで窒素分子が活性化され、そこにNi上で生成した水素原子が反応する。これにより、強固なN-Nの結合が切断され、N-H結合が形成されて、最終的にアンモニアが生成される。このプロセスでは、LaN 表面の窒素は、気相の窒素が空孔に入ることで再生されるため、反応が持続して進行する。
従来のルテニウムなどの触媒上では、窒素および水素分子が、活性金属種であるルテニウム表面上でのみ活性化され、強固な3重結合を持つ窒素分子の解離が律速段階であることが知られている(図 1、左)。一方、 今回開発した Ni/LaN では上述した反応メカニズムにより、窒素分子が金属上ではなくLaN上の窒素空孔で 活性化され、同時にNiからの水素により水素化されることがわかった。このために全体の活性化エネルギーが小さくなる。律速段階も、窒素分子の解離ではなく、LaN表面の窒素種の水素化であることが明らかになった。

【本技術の特徴】
① ニッケル(Ni)と窒化ランタン(LaN)を用い高効率アンモニア合成に成功した。
② ルテニウムなどの貴金属を使わず、高いアンモニア合成活性を実現した。
③ LaN 表面の窒素空孔を反応場として利用する新コンセプトを実証した。

【本技術のポイント】
開発された窒素空孔を反応場として活用するアイデアは、材料開発、設計で重要な指針を果たすと期待される。材料開発・設計に際して、ナノ構造、界面、欠陥、異常原子価などの構造を取り入れ、元素の原子価だけでなく電子軌道、スピンなども考慮しながら計算科学によるシミュレーションと実験を繰り返すことの重要性を示唆している。同研究グループはこれらの手法を活用し、その成果としては、画期的といわれている透明酸化物半導体料や銅系高温超電導材料がある。今回の研究成果もその成果の一つに挙げられるものと思われる。

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