有望技術紹介

71 熱中症を事前に感知する専用ウエア

東レ株式会社
熱中症を事前に防止するため、東レ、NTT、ゴールドウインの3社は、心拍数、加速度と温湿度を計測するセンサーを搭載した専用ウェアを製品化した

【本技術の概要】

近年の温暖化による暑さ対策として、炎天下や空調が届かない環境で活動する人の身体負担を把握したいという要望は益々高くなっている。一方、暑さへの慣れには個人差があるため、体調や活動量などを含めた個人ごとの身体負担を把握する技術が求められていた。NTTテクノクロス株式会社は、従来から計測可能であった心拍数、加速度に加え、温湿度の計測を可能にした。また、東レ株式会社と株式会社ゴールドウインは、運動や作業を含む激しい活動の中でも安定して高い精度でデータを取得できる機能性素材「hitoe®」を搭載した専用ウェアを開発した。

【本技術の基本原理】

専用ウェアの前面正中部に装着したセンサーから、心電位、衣服内の温度や湿度、上半身の加速度や角速度のデータを計測し、そのデータを元に、心拍数、RRI(R-R Interval、心拍の変動時系列データ)、歩数、上半身の傾きなどの特徴量を解析する。
「hitoe®」と呼ばれる素材は、体から発している微弱な電気信号である生体信号を無意識に近い状態で収集する。3センサーの導入(心電、加速度、温度・湿度)とマルチセンサデータ信号処理技術により、暑さ対策などのスマートヘルスケア応用を可能にした。1個あたり約12gと軽量で、約50時間の連続使用ができるセンサーを搭載している。
低電力で長時間動作、メモリ機能と無線機能も持ち、人間工学に基づいた筐体形状といった特長により、生活のさまざまなシーンにおける生体情報と個人の環境情報を取得できる。

【本技術の特徴】

  1. シャツ型センサーによる温湿度と心拍数などを同時計測可能
    NTTデバイスイノベーションセンタで開発したウェアラブル生体・環境センサー技術を活用し、心拍数と衣服内の温度・湿度のほか活動量、歩数・姿勢を高精度に計測する。専用ウェアに装着する小型センサー「TX02」は重量約12グラムで、利用シーンにより約50時間連続利用できるため、利便性も両立している。
  2. 激しい運動や作業にも対応した専用ウェア
    肌への密着性が高く、運動中でも安定して高い精度でデータを取得できる東レの素材hitoe®を活用している。東レ製のシャツ型とベルト型、ゴールドウイン製の「C3fit IN-pulse(インパルス)」シリーズとしてノースリーブ型をラインアップした。専用ウェアの上から通常の衣服を着用可能で、着用者は普段通りに活動できる。
  3. 暑さによる体調不良の予兆を検知する
    体調不良の予兆をシャツ型センサーの着用者に通知する。また、活動しながらスマートフォンなどでデータをチェックすることで、休憩タイミングの目安にもなり、早期対策につなげることが可能である。
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