有望技術紹介

77 CO2を大量に貯蔵できる多孔性材料

京都大学アイセムス
京都大学は、CO2を大量に貯蔵できる多孔性材料の開発に成功した。これにより、⼤気中の低濃度CO2の直接利⽤や、⼤スケールでの合成も可能になると期待される。

【本技術の概要】

 京都⼤学アイセムスの堀⽑悟史准教授らの研究グループは、常温・常圧下において⼆酸化炭素(CO2)を有⽤な多孔性材料へと変換する新しい⼿法の開発に成功した。これにより、⼤気中の低濃度のCO2の直接利⽤や⼤スケールでの合成も可能となると期待される。
 多孔性材料は、その内部にミクロな穴(細孔)を無数に持つ固体である。本研究では、その中で⾦属イオンと有機分⼦(架橋性配位⼦)からなるジャングルジムのような構造を持つ PCP/MOFに着目、当該材料の開発に取り組んだ。PCP/MOFは90年代後半に発⾒されて以来、90,000以上の種類が開発され、その⼀部は半導体ガス貯蔵⽤途などへ実⽤化されている。しかし、 PCP/MOFの合成に適した架橋性配位⼦をCO2から簡便に作る⼿法が未探索であったため、CO2を原料として用いられることはなかった。
 本研究では、常圧・常温のCO2からPCP/MOFを1ステップで合成する⼿法開発に取り組んだ。応⽤性を念頭に、安価・無毒な亜鉛イオン(Zn2+)と、ピペラジンと呼ばれるアミンの組み合わせに着⽬し、常温で、この⾦属イオンとアミンを含む溶液中に常圧のCO2を吹き込むことで、80%以上の⾼い収率で PCP/MOFが得られることを見出した。この反応は数分で完了し、高純度の PCP/MOFが得られた。

【今後の展開】

 今回得られた成果は、天然資源が乏しい⽇本において普遍的に存在する空気(中に含まれるCO2)から、多孔性材料のみならず高い付加価値を持つさまざまな材料を⽣み出す⽅法の確⽴につながる可能性を持ってている。⼤気中の低濃度のCO2の直接的な資源化に加えて、不純物を多く含む⼯場の排ガス中のCO2など、資源化の対象を拡⼤することも期待される。

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