京都大学化学研究所
波長1,100nmの赤外光における外部量子効率3.8%という世界最高の効率で赤外光から水素を生成できる光触媒の開発に成功した。
波長1,100nmの赤外光における外部量子効率3.8%という世界最高の効率で赤外光から水素を生成できる光触媒の開発に成功した。
【本技術の概要】
京都大学化学研究所・坂本雅典准教授、寺西利治同教授、廉孜超・日本学術振興会特別研究員、豊田工業大学・山方啓准教授、関西学院大学・玉井尚登教授、立命館大学・小林洋一准教授、国立研究開発法人物質・材料研究機構・木本浩司主席研究員、長井拓郎同主幹エンジニアらの研究グループは、局在表面プラズモン共鳴(LSPR: Localized Surface Plasmon Resonance)を利用した光誘起電荷分離機能に注目し、赤外域に LSPRバンドを示す硫化銅(Cu7S4)ナノ粒子と硫化カドミウムナノ粒子を連結させた構造をもったヘテロ構造ナノ粒子を合成し、水素生成における光触媒活性を見出した。
この結果、白金を担持した硫化銅/硫化カドミウムヘテロ構造ナノ粒子が、波長1,100nmでの外部量子効率3.8%という世界最高の効率で赤外光から水素を生成できる光触媒であることを発見した。また、この赤外応答光触媒を利用することで、地表に到達する太陽光の最大波長である2,500nmの光を用いて水素を生成することにも成功した(図1、表1)。
【本技術の応用事例・想定用途】
硫化銅/硫化カドミウムヘテロ構造ナノ粒子において観測された光誘起電荷分離は、従来のプラズモン誘起電荷分離と比較するとはるかに長い寿命を持ち、これが赤外光の高効率エネルギー変換に大きく貢献していると考えら、この機構の発見は赤外域の光を用いた光エネルギー変換材料、たとえば赤外応答光触媒や赤外光電変換材料といった新しい材料の開発につながることが期待される。