遠隔同士でも直接触れ合う感覚が楽しめるコミュニケーション愛玩ロボットが製品化された。
【本技術の概要】
同社は、モノに触った感覚(触覚)とモノを掴む力を感じる感覚(力覚)の2つの感覚をデジタル化するリアルハプティクス技術をペットロボットに活用し、遠隔でもスキンシップが感じられるコミュニケーションを実現した。今回製品化されたロボット「ゴロニャン」は、双方向のスキンシップを可能にした猫型ペットロボットである。2匹のゴロニャンを高速・低遅延でネット接続して連携させると、一方のゴロニャンを動かした動作が遠隔にあるもう一方のゴロニャンにリアルタイムで伝わり、まるで2人で直接対面して同じゴロニャンを操作しているかのような感触が得られる。既存の愛玩ロボットのように歩いたり、話したりすることはできないが、遠くの家族や友達と臨場感のある対話機能を備えた次世代ロボットとして期待される。
【本技術の原理と特徴】
人間に備わっている力触覚を機械で再現することについて、慶應義塾大学の大西公平特任教授等が開発したリアルハプティクス技術により実現することができた。具体的には、力触覚の動作データを瞬時に同定し、その値をデジタル信号として蓄積、遠隔通信することを可能とした。感覚は定量化できないが、力触覚を表す刺激信号の物理量としてリアルタイムで定量的なデジタル信号として把握できるようにした。
ハプティクスとは国際ハプティクス学会で、「利用者に力、振動、動きなどを与えることで皮膚感覚フィードバックを得る技術」と定義されている。一方、リアルハプティクスとは、人が押したり、握ったり、さすったりして硬さや弾力、動きを感じて得る情報を物体と双方向で伝送し、力触覚を再現する技術である。この力触覚は人間の優れた判断力と柔軟さを支えている本能的感覚ということができる。
【リアルハプティクスの特徴】
- 人は触って得た力触覚から操作対象に合わせて力を制御し、相手に適応した動作を行うことができる。リアルハプティクスは動作データを瞬時に同定し、その値をデジタル化し、リアルタイムで力触覚を伝送することで実現した。デジタル信号なので拡大、縮小化など加工もすることができる。
- ロボットでは、操作対象の内容を4個のパラメータ(慣性、粘性、剛性、クーロン摩擦)としてリアルタイムで定量的に把握することが可能となった。
- ロボットなどの人工機械が、人と同様に対処物に適応した動作を再現することが可能となり、記録、蓄積しその中からその場の作業にふさわしい作業を遠隔地であっても送信できる。
【本技術の用途】
ゴロニャンは、リアルハプティクス技術を使って人間に備わっている力触覚をオンラインでの遠隔伝達することで、離れたところでお互いに直接対面しているようなスキンシップを得ることができる。その活用事例を紹介する。