福井大学などの研究グループはRGBのレーザー光3本を1本のビームにまとめる導波路型デバイスを開発した。これによりレーザー走査型ディスプレイの小型化に成功し、さらにメガネ型ディスプレイへの応用を目指している。
【本技術の概要】
福井大学産学官連携本部の勝山教授と中尾教授は、RGBのレーザー光を一本の光にまとめる光導波路デバイスを発明し、ケイ・エス・ティ・ワールド㈱、㈱メムス・コア、㈱シャルマン、東海光学㈱、コマツ電子㈱と共に、眼鏡に装着できる「世界最小」のフルカラーレーザー走査型ディスプレイの超小型化モジュールを開発した。既に12×4.5×3.8㎜の大きさの超小型光学デバイスを実現し、さらに米粒大の大きさまで小さくすることに取り組んでいる。
【本技術の基本原理】
RGBのレーザー光3本を1本のビームにまとめる合波器の具体的な構造は、緑は直線路にし、青と赤の導波路は途中で緑の導波路に接近させる形になっている。光の波長によって乗り移り方が異なることから、光結合が起こる光スイッチ部分を青は2カ所、赤はその間に1カ所とするなど、1本のビームにするための最適な調整を行い、合波効率も96%以上を実現している。
福井大学が別途開発した網膜投影技術とMEMSミラーを用いて開発された超小型光学エンジンのサイズは12×4.5×3.8mmであるが、現在、米粒大の大きさまで小さくすることに取り組んでいる。眼鏡のつるに埋め込んでも、違和感なく、重さを感じないスマートグラスの実現が期待される。
【本技術の特徴】
① 焦点を合わせなくても、鮮明な画像が得られる。
② 曲面など曲がったところにも投影が可能である。
③ 超小型軽量の眼鏡型走査ディスプレイとして使用できる。
④ 近眼・遠視に限らず、鮮明な画像を提供できる。
⑤ 焦点を合わせるための機械的な装置は不要で、眼への負担も少ない。
⑥ 弱視者向けケア用品として、視覚補助眼鏡としての応用が想定される。
【本技術の応用事例・想定用途】
眼鏡のつるに埋め込んでも、違和感なく、重さを感じないスマートグラスの実現が期待される。
2017年8月、瞳を経由して網膜に画像を投影する超小型光制御デバイス(回路)を眼鏡に取り付けて弱視者の視覚を補助するなどの研究が、文部科学省の大型研究事業「地域エコシステム・イノベーション形成プログラム」に採択された。
将来のVR,ARディスプレイ分野、ウェアラブル・コンピュータ分野に革新的なイノベーションをもたらすと期待される。