航空機CFRP廃材や自動車の水素タンク廃材からCarbon Fiberを回収し、低コストで熱可塑性CFRPを得るための実証研究の成果として、リサイクルCFを用いた自動車用シャーシが試作された。
【本技術の概要】
軽く、強く、耐久性に優れた複合材料である炭素繊維強化複合材料は、自動車、航空機などの輸送機器、風車などのエネルギー機器に省エネルギーおよび環境負荷低減材料としてますます社会に取り入れられている。ナショナルコンポジットセンター(NCC)は、そのリサイクル技術の開発を産官学で切り開くことを目指したNEDOプロジェクトとして、2012年4月に設立され、2014年に名古屋大学へ移管された。
(1) CF回収技術の開発
様々なCF回収プロセスの中から、過熱水蒸気処理によるCF回収システムを採用し、製作条件などの開発を実施している。
(2) リサイクルCFのLTF-D成形技術の開発
炭素繊維、熱可塑性樹脂供給から高圧プレスで短時間に所望の構造部材を成形するまでの工程は、ドイツのフラウンフォーファ研究機構で着想された熱可塑性樹脂と炭素繊維を混練するLTF-DプロセスをベースにしたリサイクルCFのLTF-D成形技術を採用し、炭素繊維ロービングからの連続供給部の替わりに、回収CFをLFT-D成形するためのサイドフィーダ技術の開発および成形プロセスの研究・開発を実施している。
* LTF-D : Long Fiber Thermoplastic-Direct
【本技術の特徴】
構造用CFRP製法としては低コスト化を実現できる可能性を持つと期待できる。
【本技術の応用事例・想定用途】
ナショナルコンポジットセンターでは、熱可塑性樹脂とリサイクルCFを用いて自動車用シャーシを作製することに成功した。これにより材料供給から最終製品までの一貫生産が可能となり部材コストの低減に目途を立てた。